2006年08月26日

親族相盗

印刷屋さんで、家族だけで事業を営んでいるところは多くあります。
家庭と会社との区別がなくて、会計をごちゃまぜにしているところは、税務署から暑いお灸をすえられます。
では、夫婦間、親子間、兄弟間、親戚間ではどうでしょうか。こそっと財布からお札をくすめたら犯罪になるでしょうか。

刑法244条(親族間の犯罪に関する特例)
(1) 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
(2) 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(3) 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
刑法235条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法235条の2 (不動産侵奪)
他人の不動産を侵奪した者は、十年以下の懲役に処する。
刑法255条(準用)
第244条の規定は、この章の罪について準用する。

すなわち、配偶者・直系血族又は同居の親族との盗みであれば、244条1項で窃盗罪は免除(免除は処罰されないという有罪の一種)され、
同居していない親族間であれば、244条2項で告訴がなければ窃盗罪を公訴提起できないと言っています。(窃盗罪→親告罪)
また255条によって、親族間の犯罪に関する特例は、業務上横領罪・詐欺罪などにも準用されます。親族間の犯罪に関する特例は「国家が家庭に入らず」の趣旨で設けられました。家庭のもめごとはなくべく家庭で解決せよということです。

ところで、親告罪とは、検事が公訴提起するのに被害者側から請求・告発・告訴が必要な犯罪です。種類としては、
(a) 強姦罪(刑法177条)のように被害者の名誉保護のために親告罪とされたもの
(b) 侮辱罪(刑法231条)のように軽微な犯罪であるために親告罪とされたもの
(c) 244条2項のような家族関係の尊重のために親告罪とされたものがあります。
親告罪で告訴等がなければ、訴訟条件を欠くものとして公訴棄却の判決がくだされます。(刑事訴訟法338条4号)
重要論点として、親告罪で告訴等がなくても捜査をすることができるのかいうのがあります。
通説だと、
(a) の場合、証拠の収集が著しく困難なるという高度の必要性があり、被害者の名誉を害しない方法であれば捜査ができる。強制捜査は将来告訴を得られる相当の見込みがある場合に限られる。
(b) の場合、告訴権者の意思を確かめない限り捜査ができない。
(C) の場合、現実に告訴がない限り捜査ができない。

まだまだ書きたいところですが、今日はこのへんで終わりにします。
posted by 金太郎 at 07:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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